車高調って何?

多くの車の場合、純正サスペンションは車高の変更や乗り心地の調整が出来ません。
これに対し、一定の範囲で車高を変更が出来るパーツです。
純正サスペンションのスプリングのみを入れ替え、車高を下げるローダウンスプリングとは違い、ショックアブソーバーとスプリングのセットとなっているパーツです。
車高を下げたり、サーキットでの車の挙動を調整する目的で使用されます。
主に車高調には全長式とネジ式の2種類があり、それぞれダンパーの減衰調整が出来るものと、出来ない固定式のものがあります。

車高調を構成している部品

①アッパーマウント
ショックアブソーバーの車体側取付部。ピロボール式などに交換して路面追従性能を高める場合もあります。
②スプリング  
こだわる方はこれも交換したりします。
硬さは主にレート(kg/mm)で表されます。
③ピストンロッド
かなりデリケートな部位です。
ストローク部に傷が入ったりするとオイル漏れの原因となります。
④ブーツ
ピストンロッドを保護する目的で付けられている樹脂製の蛇腹です。
⑤スプリングロアシート
スプリングを固定しています。
ネジ式はここを回して車高を調整します。
⑥スプリングロックシート
スプリングロアシートを締め込んで固定している部位です。
⑦シェルケース
ネジ山の切ってある部分をシェルケースと呼びます。
⑧ブラケットロックシート
全長式の場合のみ存在します。
アジャスタブルブラケットを締め込んで固定している部位です。
⑨アジャスタブルブラケット
全長式の場合のみ存在します。
ショックアブソーバーのナックル側取付部分です。
ネジ式はシェルケースと一体になったダンパーです。

全長式車高調

全長式車高調は、スプリングのプリロードに関わらず、全長を調整出来るのが特徴です。
つまりスプリングプリロードとストロークは単独で調整が可能ということになります。逆にプリロードとストロークは単独で調整が可能です。
具体的にはAのブラケットロックシートを緩めて9のアジャスタブルブラケットを回して全長を調整出来ます。メーカーによってはフルタップ式と呼ぶこともあります。
このようにスプリングのプリロードに関係なく全長の調整が可能なのが一番の特徴です。
左のアニメのようなイメージです。

ネジ式車高調

ネジ式車高調の特徴はAのスプリングロアシートの上下によって車高を調整します。
当然、左のCの長さを変化させて車高を上げ下げする訳ですから、ダンパーのストロークと、プリロードも変わって来ます。

スプリングの自由長以上にAを下げて車高を落とそうとすると、全くスプリングにプリロードが掛からない為、乗り心地が悪くなるばかりか、サスとしての機能を果たさなくなることもありますので注意が必要です。

減衰力調整機能

全長式、ネジ式ともに、ショックの減衰力調整が出来るタイプがあります。減衰力調整とは、簡単にいえば、スプリングのストロークの速さの調整ということです。0,1秒で1cmストロークするよりも1秒で1cmストロークしたほうが乗り心地はマイルドと感じる訳です。

 

主に左の写真のようにショック上部にあるツマミでダンパーのフィーリングを調整します。

「減衰~段調整」なんて書いてある車高調はこのタイプになります。

車高調選びのポイント

ネジ式車高調は車高の上げ下げをすると、当然スプリングのプリロードやダンパーストロークも変わりますので、車高の下げ幅も乗り心地も調整にかなりの制限があることが多い反面、リーズナブルです。


それに比べて全長式車高調は、ネジ式より高価ですが、プリロードとダンパーストロークが独立して調整出来るので、せっかく車高調を入れるのであれば全長式車高調が理想的といえます。


乗り心地を調整するのであれば減衰調整機能付も欠かせません。
その他にもアッパーマウントがピロボール式とゴム式のがありますが、ピロボール式はハンドルの操舵性や、コーナリング性能に長けている反面、ゴム式よりもこまめなメンテナンスが必要で、異音が出ることも多々あります。
ただ、車高を下げるだけでなく、その他も用途に合った車高調を選ぶことが大切です。